長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑥ 遺体の安置から納棺まで

2021年03月01日


【遺体の搬送】
 遺体は手術室や病室、霊安室、介護療養施設の部屋などからなるべく速やかに(半日ほどの間には)自宅や、通夜会場に搬送するのが一般的です。
 搬送する際は、葬儀社に依頼して専用の寝台車を用意してもらいます。家族が自家用車やレンタカーで運ぶ場合は、犯罪などの嫌疑がかからないよう死亡診断書を携帯します。タクシーでの搬送は法律で禁止されています。

【遺体の安置】
 病院から自宅に帰ってきた遺体は、納棺まで自宅に安置します。仏式ではお釈迦様が亡くなったときに倣って「北枕」にする「枕直し」と呼ばれる安置の仕方が一般的ですが、間取りなど関係で北向きにできない場合は、こだわらないケースもあるようです。
 枕直しがすんだら顔に白い布を掛け、両手を胸の上で合掌させて数珠を掛けます。掛け布団は遺体を温めないように薄手のものを用意します。宗派や地域によっては、胸の上や枕元に魔除けの「守り刀」を置く場合があります。
 最近は葬儀会場や家族葬ホールに宿泊可能な「通夜室・通夜会場」を併設している場合が多くなりましたが、こうした施設の安置室などに搬送した場合も、同様に遺体を安置します。

【神棚封じ】
 自宅で通夜を行う場合、故人の霊を慰めることに専念するため、仏式の場合は、神棚の扉を閉じ、半紙を貼る風習があります。亡くなってから50日目の忌明けを待って、半紙で神棚を封じた本人が元通りに戻します。

【死に装束】
 宗派によっては、納棺前に「死に装束」に着替える場合があります。経帷子を左前に着せ、頭巾を頭の脇に置いて、手には白い手甲、数珠、杖、足には脚絆を着けます。手甲は左右逆に付け、脚絆、白足袋、わら草履は左右逆か裏返しに履かせます。さらに、首か肩に六文銭を入れた頭蛇袋を掛けます。
 このような装束は浄土へ旅立つ故人の旅支度とされるもので、六文銭は三途の川の渡し賃と言われています。六文銭は現在、紙に印刷したもので代用する場合がほとんどです。また経帷子も衣服の上に上下逆に掛けるだけにする場合もあります。

【枕飾りと枕経】
 遺体を安置したら、遺体の枕元に「枕飾り」と呼ばれる小さな机を設置します。机の上には四華、香炉、燭台、花立て、一善飯を供えるのが一般的です。宗派、地域によっては水、枕団子を供える場合もあります。線香や蝋燭の火を絶やさないように、枕飾りの傍らには常に遺族の誰かしらがいるようにします。
 枕飾りが済んだら僧侶を招いて「枕経」と呼ばれるお経をあげてもらいます。遺族は僧侶のうしろに控え、読経を拝聴します。このとき遺族の服装は喪服である必要はありませんが、派手な服装は避け、アクセサリーなどは外しましょう。

 

 

 遺体は北枕にするのが一般的ですが住宅事情などで西枕にする場合もあるようです。枕屏風や枕飾りの配置もさまざまになります。枕屏風は逆さに、守り刀は刃先を下に、布団は上下逆にするならわしもあります。

 

 花は樒(シキミ)、ないときは菊、百合、水仙などが使われることもあります。線香は6本、枕団子は6個など宗派や土地の風習で変わるようです。鈴、水、枕飯は特に浄土真宗の場合、飾らないのが一般的なようです。

 

【納棺】
 枕経が済んだら遺体を棺に納めます。納棺のタイミングは①通夜までの間に、②通夜の最中に、③通夜の後、④出棺の直前に、など地域によってさまざまです。
 死後硬直した遺体を持ち上げ、傷つけることなく棺に納めるのには細心の注意が必要なため、葬儀社の専門員が代行してくれるケースが多いようです。
 遺体を棺に納めたあとは、遺体の手に数珠を持たせ、胸の上で組ませます。遺体の周りは生花で飾るのが一般的で、副葬品として故人の愛用品などを入れてもかまいません。ただし火葬の際に燃えにくいアクセサリーなどは避けたほうがよいでしょう。
 遺体の傷みやすい季節はドライアイスを一緒に入れることもあります。棺にはふたをしますが、釘は火葬の直前に打つので、ここでは打ちません。棺は通夜・葬儀会場が別であればスケジュールに従って搬送します。

 

棺に入れてはいけない副葬品、棺の種類や価格などの情報は『長野の葬儀』に掲載しています。