長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑧ 通夜

2021年03月26日

【通夜とは】

 遺族をはじめとする故人ゆかりの人たちが故人との別れを惜しみ、最後の夜を過ごす儀式で「夜伽(よとぎ)」「お伽(おとぎ)」とも呼ばれます。
 かつて通夜は、故人がさびしがらないように、また邪霊が寄りつかないように、遺族が寝ずの番をして線香の火を絶やさずにしたものですが、現在はこだわる人も少なくなったようです。葬儀社に相談すれば、長時間終わらない線香なども用意してもらえます。
 現在、通夜は亡くなった日の翌日、午後6時~7時にはじまって、長くても2時間ほどで終わることがほとんどです。


【僧侶・弔問客を迎える】

 僧侶は世話役が迎えに行き、通夜のはじまる30分前には会場に到着してもらえるようにします。僧侶が到着したら控室に案内し、茶菓子でもてなします。世話役代表があいさつし、通夜振る舞いに参加していただけるかを確認します。
 弔問客の受け付けは1時間前にはじめ、遺族は15分前には着席して開式を待ちます。


【通夜会場の席次】

 通夜と葬儀の席次は基本的に一緒でかまいません。喪主が祭壇にもっとも近い場所に座る以外に決めごとはありませんが、一般的には祭壇に向かって右側に喪主、遺族、近親者の順に座り、焼香もこの順番で行います。また長男夫婦、その子ども、次男夫婦、その子ども、というように家族単位でならぶのも通例です。
 弔問客の焼香がはじまってからは、喪主と遺族は祭壇の近くから離れずに弔問客の返礼に専念し、ひとりずつ、焼香の前と後に目礼をします。ひとりの弔問客と長話をすることは避け、すべて同じように接することを心がけましょう。弔問客の出迎え、見送りなとの細かな気遣いは世話役や親族に任せます。

 

【読経と焼香】

 僧侶が会場に入ったら、参列者は合掌または拝礼で迎えます。読経は30~40分ほどつづきますが、その間、参列者は楽な姿勢をとってもかまいません。心を落ち着かせて拝聴し、故人を弔いましょう。小さな子どもを連れている人は、泣き出したり騒いだりした場合、席を外すなどの配慮が必要です。
 読経が終わってから、もしくは読経の途中で僧侶から「ご焼香を」と指示がありますので、喪主から席順にひとりずつ焼香をはじめます。焼香が終わったら参列者に一礼して席に戻ります。


【お寺や自宅での通夜】

 葬儀社のホールや通夜専用施設などではなく自宅や寺院で通夜を行う場合、焼香は、祭壇に向かって立ったまま行う「立礼」ではなく、座って行う「座礼」や、座ったまま行う「回し焼香」が一般的です。また焼香の作法や数珠の使い方は、宗派によって異なりますので事前に確認をしておきましょう。
 寺院で通夜を行う場合、遺族は遺体を寺院に残したまま帰宅することになります。故人を残して帰るのが忍びないと感じるようであれば、寺院に相談してみましょう。遺族の代表者の宿泊を許可してくれる場合もあります。


【お悔やみの言葉に対して】

 会場でお悔やみの言葉をかけられたら喪主、親族は丁寧に「恐れ入ります」と返礼をしましょう。ただし儀式の最中は、親しい人でも長話は控えるのが常識的です。また香典に対しては「ありがとうございます」とは言わないのがしきたりです。この場合も「恐れ入ります」と手短に返礼をしましょう。

 

【喪主のあいさつ】

 読経と焼香が終わっって僧侶が退場したら、喪主(または世話役代表)は、弔問客にお礼のあいさつと通夜振る舞いの案内をします。内容は込み入ったことは避け、弔問へのお礼、通夜振る舞いの案内、翌日の葬儀の案内にとどめ、最後にもう一度、お礼を述べます。


【僧侶へのお礼】

 僧侶が控室に戻ったら、茶菓子でもてなし、お礼のあいさつをします。このとき、通夜のお礼としての「お布施」を渡しましょう。包み紙は奉書紙、半紙または白封筒を使います。なお、不祝儀袋は「お布施」では使用しないのが一般的です。本来、不祝儀袋は不幸があった人に対して渡す時に使うものであり、僧侶に不幸があったわけではないので、不祝儀袋を使うのはむしろ失礼です。
 さらに翌日の葬儀の打ち合わせをしてから「御車代」と表書きをした包み金を渡します。「御車代」は僧侶を招くたびに渡すもので、遺族の車で送迎する場合でも渡します。金額はとくに遠方から招いた場合をのぞいてはタクシー代程度を包みます。またタクシーを頼む場合は渡さないことが多いようです。
 葬儀の段取りを確認した後、僧侶を通夜振る舞いの席に案内します。僧侶が通夜振る舞いを辞退した場合は「御膳料」と表書きした包み金を渡します。金額は食事代程度の場合が多いようです。包み金は、お盆に載せて丁寧に差し出しましょう。


【心づけ】
 寝台車や霊柩車、送迎バスの運転手、火葬場の係員などへの「心づけ」は本来、お世話になった人への心遣いですから渡す渡さないは自由です。お金は奉書紙や半紙、無地の白い封筒を使い、表書きは「志」「御礼」「寸志」などとします。不安なことがあればその都度、葬儀社に相談してみましょう。

 

【香典の管理】

 香典は受付係から会計係に渡り、会計係は通夜の後、袋から現金を出して金額、住所、氏名を香典帳に記帳します。最近は弔問客・会葬者にカードを渡して記入してもらう方法も多く用いられているようです。いずれも金額と記帳の確認をする際は、必ず複数名、最低でも2名で行ってもらうように依頼しましょう。
 金額と香典帳が合うことを確認したら、そのままお金と帳簿を遺族が引き継ぎます。香典泥棒にあわないためにも、くれぐれも香典から目を話さないよう注意しましょう。

 

【通夜振る舞い】

 通夜振る舞いは弔問客へのお礼も兼ねた食事会であり、故人を偲ぶ場でもあります。かつては精進料理を出すものとされていましたが、現在はメニューのこだわりは少なくなったようで、寿司やサンドイッチなど手軽につまめるものを多めにし、大皿を用意するケースもあるようです。
 席次は僧侶が上座に、喪主や遺族は下座になります。世話役代表は僧侶の脇に付くようにしましょう。
 時間は1時間程度で、最後に喪主(または世話役代表)のあいさつでお開きとなります。
 会場の事情などで通夜振る舞いができない場合は、酒と折り詰めなどを用意しておいて、弔問客に持って帰っていただきます。

 

【世話役の食事】

 受付係や会計係、台所係などの世話役には、通夜振る舞いが終わってから食事をとってもらうのが一般的です。遅い時間になるようであれば、翌日には葬儀もあるので、折り詰めなどを用意しておいて、持ち帰ってもらってもよいでしょう。

 

【葬儀の打ち合わせ】

 喪主と世話役代表は、通夜振る舞いが終わったあと、翌日の葬儀について葬儀社と細かな打ち合わせをします。
 進行の確認、時間配分、席次、読み上げる弔電とその順番、焼香の順番、火葬場に同行する人、精進落としの出席者の確認などです。
 弔電については必ず遺族が目を通し、名前の読み方も確認しておきましょう。

 

【夜伽(よとぎ)】
 弔問客などが引き上げたあと、遺族はひと晩、故人を守るための線香を絶やさないように夜伽(棺守り)をします。最近では喪主だけではなく、お通夜を葬儀社のホールなどで行う場合、夜間閉鎖のために夜は付き添えないところもあります。宿泊が可能か、葬儀社に確認をしておきましょう。最近は宿泊できる通夜専用施設などが葬儀ホールに併設されてることも多くなりました。

 


通夜・葬儀などの場面で使わない言葉、通夜振る舞い前後のあいさつ例文など、詳しい情報は『長野の葬儀』に掲載しています。