長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑪ 出棺火葬から精進落としまで

2021年05月31日

【火葬】

 火葬場に着いたらまず「火葬許可」の手続きを行いますが、葬儀社が代行してくれる場合も多くあります。

 霊柩車から降ろした棺は、焼香台が用意された火葬炉の前に安置します。焼香台には位牌と遺影を置き、準備が整ったら、僧侶が同行している場合は最後の読経を行います。つづいて喪主、遺族、親族、会葬者が焼香をしてから、棺の小窓を開けて最後の対面をします。僧侶が同行しない場合は、焼香だけを行います。全員の焼香が終わったら棺は火葬炉に納められます。一同はこれを合掌して見送ります。

 火葬炉の点火からは、故人の年齢や体型にもよりますが、40分~90分ほどの時間がかかります。骨あげまでの間、同行者は全員、控室で待つことになりますが、僧侶が同行した場合は上座に座っていただき、喪主・世話役代表が応対しましょう。
 喪主が火葬場に同行しない習慣のある地域もあるようですが、最近は同行するのがほとんどのようです。迷った場合は、寺院や葬儀社に相談してみましょう。

【骨あげ】

 火葬が済んだら遺骨を骨壺に納める「骨あげ」を行います。骨あげは「この世からあの世へ橋渡しする」という意味を込めて、ひとつの骨を2人の箸で挟んで骨箱に納めます。納める順番は人が立っているときと同じになるよう足から先に頭部へと納めていき、最後に故人ともっとも縁の深い2人が、仏様が足を組んでいる姿に似ているとわれる、のど仏の骨(第二頸椎の骨)を納めます。

 一般的にのど仏と呼ばれている部分は軟骨で、火葬の際には燃えてしまいます。骨あげのときに「のど仏」と呼んでいるのは実際には第二頸椎で、これは男性だけでなく女性にもある骨です。
 この時点で「火葬許可証」に証明印が押され「埋葬許可証」が発行されます。これは埋葬時に必要となるので、遺族は遺骨と一緒に骨箱に入れて保管しておきましょう。

【副葬品】

 故人の愛用品など、棺に入れた副葬品は遺体と一緒に燃やさるのが一般的でしたが、最近
は燃やさずに骨壺の中に一緒に納める場合も増えているようです。メガネ、時計、アクセサリーなど、骨箱のサイズにあったものを想定しましょう。

【分骨について】

 最近は遺骨を複数に分けて持ち帰り、自宅などに安置する「手元供養」を希望する人が増えています。分骨を希望する場合は、あらかじめ葬儀社に申し出て、骨壺を複数用意してもらうか、分骨用の小さな骨箱や分骨袋を用意してもらいましょう。
 また、火葬場にも事前に分骨の希望を伝え、分けた遺骨の数だけ「埋葬許可証」の代わりとな
る「分骨証明証」など分骨用の書類を用意してもらう必要があります。これは分骨した遺骨を埋
葬することになった際に、市町村で「埋葬許可証」を発行してもらう時に必要となります。

【遺骨の自宅安置】

 遺骨を自宅に安置することは法的には問題はありません。納骨は四十九日法要と一緒に行わ
れるのが一般的ですが、七回忌や十三回忌を目安に納骨する人や、ずっと手元に置いている人もいます。 

 ただしこの場合は、「埋葬許可証」や「分骨証明証」を長期に保管することになるので、紛失には注意が必要です。

【骨迎え・還骨法要】

 骨あげ後は、葬儀を行った寺院や葬儀会場に戻って「後飾り祭壇」に遺骨、位牌、遺影を安置して「還骨法要(かんこつほうよう)」を行います。僧侶がお経をあげ、僧侶の合図に従って喪主から順番に遺族が焼香をします。
 「還骨法要」は文字通りお骨になって帰ってきた故人を追悼する儀式で、宗派によっては「還骨勤行」「安位諷経」と言います。
 なお火葬のタイミングで「還骨法要」「初七日法要」「精進落とし」の流れは変わります。

【後飾り壇】

 仏教の葬儀では四十九日までの期間を「中陰」と言い、故人の遺骨、位牌はこの間、仏壇に収めてはいけないことになっています。このため、高さの違う平机に白布を掛けて2~3段の祭壇を自宅の仏壇横または仏壇前に作り、ここに故人の遺骨、白木の仮位牌(内位牌と野位牌)、遺影を安置します。これを「後飾り祭壇」または「中陰壇(ちゅういんだん)」と言います。
 後飾り壇は、火葬場に行っている間に葬儀社のスタッフが自宅に設営してくれる場合が多いようですが、自宅で葬儀を行った場合は、葬儀の祭壇を初七日まで使い、その後、後飾り壇を設けることも多いようです。

【精進落とし】

 精進落としは本来、四十九日法要の忌明けまで精進料理で過ごしてきた葬家が、通常の料理に戻す最初の食事を意味しましたが、現在では故人を偲びつつお世話になった僧侶、親族、友人、会葬者の労をねぎらう席へと、その意味合いは変わりつつあります。
 開催もほとんどの場合が葬儀当日、葬儀の後(初七日法要の後)に行われ、料理の内容も、忌明けにはこだわらず、精進料理以外のものも食べられています。

 席次は上座に僧侶が座り、来賓、世話役代表や世話役、友人ほか会葬者、親族とつづいて、
末席に遺族が座ります。

 宴席は喪主のあいさつではじまり、喪主は出席者ひとりずつにお酒をついでまわります。おおよそ1時間~1時間半ほど経ったら、もう一度あいさつをしてお開きにします。

【お斎(おとき)】

「お斎(おとき)」は、そもそも仏事の後などにする食事のことで、転じて法事や法要で僧侶が読経したあとに開かれる食事会を指すようになったようです。 

 長野県内にはこの言い方そのままに「通夜振る舞い」や「精進落とし」のことを「お斎」と呼ぶ地
域が多くあります。また中信エリアには精進落としのことを「忌中払い」や「棚あげ」、佐久地
方には「灰寄せ」などと言う地域もあるようです。
 料理の内容についてはさらに地域ごとに特色があるようで、たとえば長野地域では蕎
麦、松本地域ではうどんが必ずメニューに入ると言われています。

出棺火葬から精進落としまでに関する詳しい情報は『長野の葬儀』に掲載しています。