長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑯ 神式の弔事〈2〉

2021年08月10日

〈神式の拝礼方法〉

 神式の正式拝礼は「二拝二拍手一拝」が基本です。2回深いお辞儀をして、2回かしわ手を打ち、最後にもう一度お辞儀をします。
 弔事の場合、柏手は、音をたてないように静かに手を合せる「忍手(しのびて)」で行います。
お祓いを受けるときや斎主が祭詞を奏上しているときなどは黙とうして頭を下げるようにしましょう。

〈玉串拝礼(たまぐしはいれい)〉

 神式の葬儀で仏式の焼香にあたる儀式は「玉串拝礼」になります。玉串を神前の玉串案(玉串を載せる台)にお供えする儀式で、葬儀のときだけでなく、神式の儀式のときには必ず行われるものです。玉串は榊の小枝に紙垂(しで)という紙片をつけたもので、玉串に自分の誠の心をのせて故人の御霊に奉るという意味があります。
 玉串を捧げたあとは、二拝二柏手一拝で拝礼します。

〈葬場祭〉

 仏式の葬儀・告別式にあたるのが「葬場祭」です。席次や弔問客への対応などは仏式と同じです。通夜祭と同じく、まず参列者全員が手水の儀で身を清めてから参列します。

〈三種の神器〉

 神式の葬儀では祭壇に「三種の神器(鏡・刀・勾玉)」のレプリカを飾ります。鏡は祭壇中央に、刀と勾玉は祭壇脇に立てる五色旗に吊るします。
 鏡は、天照大神(アマテラスオオミカミ)を天岩戸から外に出すときに使った「八咫鏡(ヤタノカガミ)」、刀は素戔嗚尊(スサノオノミコト)がヤマタノオロチの尻尾が斬れずにいたときに尻尾の中からあらわれたといわれる「天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ」または「草薙剣(クサナギノツルギ)」、勾玉は「八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)」で、八咫鏡とともに、天照大神を天岩戸から外に出すときに使われたもの、といわれています。

〈出棺祭〉

「出棺祭」は棺を火葬場まで運ぶ儀式です。本来は夜間に葬列を組んで松明をかかげて行いましたが、現在は簡略化がすすんでいます。
 出棺はまず、葬場祭のあとに故人と遺族、親族、友人らが最後の対面をして、棺にふたを閉め、釘打ちをします。それから棺を霊柩車に運び、火葬場へ向かいます。
 残った親族や世話役は祭壇を片付け、家を清掃し、神職に一同と家の内外を清めてもらう「後祓いの儀(あとばらいのぎ)」を行い、後飾り用の祭壇を飾ります。

〈火葬祭〉

 「火葬祭」は棺を炉の前に安置し、白い布をかけた「案」の上に供物、故人の官位や姓名などを記した旗「銘旗(めいき)」などを飾ります。参列者は手水で清め、斎主一拝、祭詞奏上のあと斎主につづいて玉串礼拝を行い火葬します。本来は火葬後すぐに埋葬しますが、最近は遺骨を持ち帰り五十日祭に合わせて納骨することも増えています。

〈帰家祭(きかさい)〉

 火葬場から戻ったら家に入る前に身を清めるために斎主からお祓いを受ける「帰家修祓の儀(きかしゅうばつのぎ)」を行います。その後、後飾りの祭壇に遺骨と霊璽を安置して「帰家祭」を行います。斎主が葬儀終了を奉告する祭詞を唱え、斎主につづいて参列者が玉串礼拝を行います(最近は「帰家修祓の儀」や「帰家祭」は省略されることも多いようです)。

〈忌明けの五十日祭〉

 神式の追悼儀式を「霊祭(みたままつり)」または「霊前祭(れいぜんさい)」といい、執り行うことで故人の御霊を慰め鎮めます。霊祭は葬場祭の翌日から行われ、葬儀がすべて終了したことを奉告する「翌日祭」、亡くなってから十日ごとの十日祭(とおかさい)、二十日祭(はつかさい)、三十日祭(さんじゅうにちさい)、四十日祭(よんじゅうにちさい)、五十日祭(ごじゅうにちさい)とつづきます。

 五十日祭は神職を呼んで祭詞を奏上し丁寧に行うのが一般的で、これにあわせて納骨を行う「埋葬祭」を実施する場合も多いようです。一般的には五十日祭で忌明けとされ、神職に清祓い(きよはらい)をしてもらい、神棚の封を解きます。