長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑰ カトリックの弔事

2021年09月02日

【危篤時はすぐに神父を】

 カトリックでは医師によって危篤と判断されたら、親族はすぐにその信者が所属する教会の神父に連絡します。
 神父は信者の意識があるうちに信者の告白を聞き、犯した罪の赦しを神に請う「赦し」の秘跡を行い、その後、白い布をかけた小机に十字架、ロウソク、聖水、聖油壺、綿、タオルなどを用意し、神の恵みを祈り求める儀式「病者の塗油」の秘跡を行います。具体的には、神父が秘跡の言葉を唱えながら信者の額と両手に聖油(聖別された香油)を塗ります。

【聖体拝領(せいたいはいりょう)】

 「病者の塗油」の秘跡につづいて、神父は主に祈りを捧げながら信者に聖別されたパンとぶどう酒を与えます。これを「聖体拝領」といいます。カトリックでは聖別されたパンとぶどう酒は、キリストの肉体と血になったとされ、これを拝領することによって、信者は主の死と復活に結ばれるという意味があります。
 家族は神父が祈りを捧げている間、共に祈り、臨終を迎えたら神父の臨終の祈りにあわせて、神の加護を願って祈ります。

【葬儀社と日程の決定】

 教会を使用する場合は、神父に連絡して通夜と葬儀の日時を相談します。日時が確定したら喪主と遺族のふたりで改めて教会に出向き、お願いをします。
 葬儀社にお願いする場合は、キリスト教の経験が豊富な葬儀社を探すか教会に相談してみてもいいでしょう。

【納棺】

 臨終後は遺体を清め、死に化粧をして着替えさせます。納棺は、神父に来てもらい、通夜前に行うのが一般的です。故人の手を胸の上で組ませ、生前愛用していたロザリオや十字架を持たせます。神父の「納棺の言葉」の後、聖書朗読、聖歌斉唱を行って祈り、遺族で納棺して祭壇に安置します。

【通夜の祈りの準備】

 キリスト教の通夜は日本の風習に合わせて作られたため、しきたりや決まりは特にありません。「通夜の祈り」として、自宅や教会などで神父とともに祈りを捧げます。
 準備としては、まず遺体を安置した部屋に小机を置いて祭壇をつくります。祭壇には十字架、ロウソク、遺影、生花、聖水などを神父の指示で置くほか、故人の愛用品などを飾ります。また、祭壇の前には献花台を用意します。通夜前までに喪主を決め、世話役、弔辞の依頼などもしておきましょう。
 参列者の多くがカトリックの信徒でないことがわかっている場合は、式次第や聖歌などを書いたプリントを用意しておくとよいでしょう。

【葬儀・告別式】

 カトリックの葬儀では、キリストによって故人を神に委ね、キリストの再臨と死者の復活を願って祈ります。葬儀は故人が所属していた教会で行うのが一般的です。以前は葬儀の日に神父に来てもらい自宅から教会に棺を運んでもらいましたが、現在は葬儀前に棺を教会の祭壇前に安置していることが多いようです。またカトリックでは葬儀と告別式をわけて行います。告
別式は神父の司式となります。
 席次は一般的に最前列に喪主、遺族、葬儀委員長、弔辞朗読者が座り、その後ろに親族、友人、知人、その後方に信者や一般会葬者が座ります。

【言葉の典礼・感謝の典礼】

 「言葉の典礼」は、神父が聖書を朗読してから説教を行う儀式です。説教のあと参列者一同で
祈りを捧げます。
 「感謝の典礼」は、遺族が祭壇に聖体(パンとぶどう酒)を捧げる儀式です。その後、信徒が祭壇の前に出て神父から聖体を受ける「聖体拝領」を行います。これは故人が復活の神秘にあずかり、永遠の命を得るようにと祈る意味があり、葬儀の中でも重要な儀式です。

【出棺から納骨まで】

 神父が出棺の祈りを捧げ、遺族は故人との最後の対面を行って、棺の中に花を添えます。それから遺族が棺を運び出し参列者がこれにつづきます。霊柩車の出発前に遺族代表がお礼のあいさつをします。
 火葬場では、棺を花や十字架で飾り付け、神父の祈りにつづいて参列者一同が最後の祈りを
捧げて火葬します。
 遺骨は骨壺か白木の箱に納め、キリスト教用の黒い布に包んで喪主が持ちます。遺骨が帰ってくるまでの間に、火葬参列しない遺族や葬儀社が、自宅に遺骨迎え用の祭壇を用意します。祭壇には遺影や十字架を置き、花で飾ります。
 遺骨は祭壇に安置し、納骨の日までそのまま安置しておきます。遺骨をお墓に納骨する日に決まりはありませんが、一般的には死後1カ月目の追悼ミサのときが多いようです。

【追悼ミサ】

 カトリックの場合、亡くなった日から3日目、7日目、1カ月目に「追悼ミサ」、1年目には「死者のための祈念ミサ」が行われます。現在は3日目、7日目は省略されるようです。
 これ以降は特に決まりはなく、毎年の亡くなった日や地域のしきたりに合わせて3年目、7年目、10年目などに追悼祈念ミサを行います。追悼ミサは教会で行われ遺族、親族、友人、知人を招きます。またミサのあとは茶話会などを開いて故人を偲びます。
 また毎年11月2日は「死者の祈念日」で、死者のための特別なミサが行われるので遺族は参列します。

【謝礼について】

 葬儀の謝礼は教会への寄付・献金という形で渡します。その際は無地の白い封筒に「献金」「ミサ御礼」などと表書きします。
 これとは別に、神父に対して謝礼を渡す場合は「御車代」「御礼」と表書きして、別に包むのが一般的です。金額に決まりはありませんが、わからない場合は教会や葬儀社に相談しましょう。