長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

喪主・親族の心得⑲ 仏式弔事の流れ【エリア別編】

2021年09月30日

【地域で異なる「納棺」のタイミング】

 病院を出て自宅や葬儀社の安置室に運ばれた遺体は、まずは布団に寝かせられます。枕飾りを設けて、僧侶に枕経をあげていただき、遺族だけで故人を偲ぶ最期の時間「仮通夜」の時間を過ごしたあと、遺体がどのタイミングで棺桶に入れられるかは、地域によってだいぶ違うようです。
 全国的には遺体葬が多く、安置・仮通夜の後のタイミングで「納棺」を行うのが一般的です。棺に入れられた遺体のまわりを、葬儀の後、祭壇に飾られていた花でいっぱいにして出棺、火葬場へと送る流れです。また、お隣りの新潟県では、通夜の前に火葬する骨葬地域もあるようで、必然的に「納棺」は安置のすぐ後になります。
 一方、「遺体葬(後火葬)と骨葬(前火葬)」でもふれたとおり、骨葬(前火葬)が多い長野県ですが、「納棺」は「通夜の前」「通夜の後」、あるいは「通夜の最中に儀式のひとつとして」と、いろいろなタイミングがあるようです。また「通夜の後」というよりは、通夜の翌日の出棺の前、つまり「葬儀の前」という地域も多くあります。

 編集部の調べでは、「通夜の前」は、小諸・佐久エリアや伊那・飯田エリアで多くあるようです。この場合、通夜の祭壇には棺桶、葬儀の祭壇には骨箱、ということになります。
 「通夜の最中」と「通夜の後」は中信エリアや諏訪エリアに多いとされています。通夜の最初あるいは最後まで、祭壇には布団に寝かせられた遺体がある状況で、通夜の最中あるいは後に、ひとつのセレモニーのような形で、遺体を棺に納め、花入れの儀が行われます。翌日の出棺、火葬を経て、葬儀の祭壇には骨箱が祀られていることになります。

 「出棺・火葬の前」という流れは飯山、中野、須坂などの県北部、長野市、千曲市、上田エリア、南佐久エリア、「安置・仮通夜後」以外の南信エリアなどに多いようで、県内では、これがもっとも多い流れのようです。この場合、通夜の祭壇は布団の遺体で、そのままひと晩過ごしてから翌日、出棺前に納棺となります。
 もちろんこれらは古くからの風習によるもの、というだけでなく宗派・宗教者の考え方や、通夜振る舞い、お斎など食事の提供の有無、火葬場の空き状況などにもよる部分もあると思われます。
 「家族葬」「一日葬儀」など、従来の形にとらわれない自由な葬儀の形に変化している昨今、今後も含め、「納棺」のタイミングはよりフレキシブルに考えられるようになるかもしれません。