長野の葬儀

「いまどき」の長野県の相続・お墓・お葬式のことがよくわかる

お墓の基礎知識

2022年01月14日

【お墓】

 お墓は古来より遺体や遺骨を葬って故人を弔う場所のことを言い、現代では墓石や墓碑など墓標を置いて、火葬した遺骨を埋葬する場所です。
 お墓参りは、故人や祖先を供養する習慣のひとつですが、家族・家系の過去から現在、未来を意識して、自分をあらしめてくれた全ての人に感謝する行いともいえます。

【家墓と個人墓】

 家墓」は家単位で代々の遺骨を納骨するお墓で「代々墓」とも呼ばれます。墓石には「〇〇家之墓」「〇〇家先祖代々之墓」など、家名が刻まれるのが一般的ですが、宗派によっては「南無阿弥陀佛」「南無釈迦牟尼佛」などの文字を刻む場合もあります。また遺骨を納骨するたびに、墓石に故人の戒名や名前、没年月日を刻むこともあります。
 「個人墓」はひとりの遺骨だけを埋葬する一代限りのお墓です。墓石にもひとり分の戒名、名前しか刻みません。夫婦ふたりだけを埋葬するお墓は「夫婦墓」と呼ばれます。

【お墓の構成】

 お墓は墓石(石塔)を中心に、遺骨を納めるカロート(納骨室・納骨棺)、墓誌、花立て、線香立て、隣接するお墓との境界を示す境界石や外柵などで構成されています。
 カロートには墓石下の地面に埋める地中式や、地面の上に設置する地上式などがあり、カロートの内部には棚が設置されていて4~8個ほどの骨壺を納められるようになっています。中には棚のないカロートもあり、納骨の際には遺骨を直接カロート内にまきます。(北信地域では直接カロート内にまく場合が多いようです。)

【お墓を建てる時期】

 お墓を建てる時期に決まりはありません。葬儀が終わって、埋葬する遺骨が手元にある場合は、法要にあわせてお墓を建てるとよいでしょう。四十九日や一周忌、三回忌の法要にあわせて建てることも多いようです。また、お彼岸やお盆にあわせて建てるのも一般的です。
 お墓を新たに建てた際は、お墓に魂を入れる「開眼法要」を行います。菩提寺に連絡して日時を相談し、墓前に祭壇を飾って僧侶に読経をしてもらいましょう。年忌法要と開眼法要をあわせて行う場合は、菩提寺に「開眼法要も一緒に」と、あらかじめ相談しておきましょう。
 この儀式を経て、お墓は単なる石からお墓としての意味を持つようになります。

【生前にお墓を建てる】

 生きているうちに自分のお墓を建てる人もいます。生前にお墓を建てて死後の供養を自ら行うことを「逆修(ぎゃくしゅ)」といい、そのお墓を「寿陵(じゅりょう)」または「逆修墓」と呼びます。生前に戒名をいただいている場合は、墓石にその戒名を刻みます。

【すぐにお墓を建てない】

 墓地を購入してもすぐにお墓が必要ではない場合や、資金的にまだ建てられない場合など、すぐにお墓を建てないときは、隣接するお墓との境目を示すための境界石や外柵などを整え、菩提寺に相談して木製の角塔婆を敷地の中心に建てます。角塔婆には墓石と同様に戒名、名前、没年月日などを書きます。定期的に墓地に出向いて清掃するなど、墓地の管理もきちんとしておきましょう。

【デザインと材質】

 和型の墓石はふたつの台石の上に長方形の竿石を重ねたもので「角型石塔」と呼ばれます。洋型のお墓はひとつの台石の上に横長の墓石を重ねたもので、和型に比べて幅が広くて低いのが特徴です。安定感があり、地震でも倒れにくいことから、墓石を洋型に限定している霊園もあります。仏式は和型が多く、神式は竿石の上が四角錐になっている和型の墓石が多く使われます。キリスト教は洋型が一般的で、墓石に十字架が刻まれることが多いようです。
 材質としては花崗岩、斑レイ岩、閃緑岩、安山岩がよく使われますが中でも「御影石」と呼ばれる花崗岩は、硬質で風雨による劣化にも強く、磨くと光沢が出る、刻んだ文字が見やすいなどの特徴があり、墓石に最適な石材として人気があります。

【お墓ができるまで】

 一般的にお墓ができるまでに必要な期間は約1~3カ月といわれています。しかしこれはお墓の建設にかかる工事期間であり、墓地や霊園、お寺探し、お墓のイメージを考えるなどの期間を含めるとさらに時間がかかります。お墓を建てる時期に決まりはありませんので、いつまでにお墓を建てるかを決めて、余裕をもって建てるようにしましょう。その際に配慮したいのが、家族・親族でよく話し合うことです。家族墓であれば、代々の遺骨が納骨され、受け継がれていくわけですから、お墓のイメージや今後の墓守のことも含め、家族・親族で共有しておく必要があります。子・孫、その先の代まで納得ができるお墓づくりを心がけましょう。

【お墓参り】

 仏教ではお彼岸やお盆、故人の命日や年忌法要などにお墓参りをする習慣がありますが、行く日に特に決まりはありません。故人や先祖に報告したいことがあるときなどに、その都度お参りに行きましょう。
 菩提寺の境内にお墓がある場合は、まず住職にあいさつし、本堂のご本尊にお参りしてからお墓参りをするとよいでしょう。お墓参りの前には、お墓の掃除を行います。ごみや落ち葉、線香の残りなどを片付け、墓石に付いた苔や水あかはスポンジなどで丁寧に落としましょう。

【お彼岸とお盆】

 お彼岸は、はるか彼方の極楽浄土に思いをはせたのがはじまりと言われる供養行事で、3月の春分の日と9月の秋分の日を中日とする前後7日間のことを指します。春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」を供えますが、基本的には同じお菓子です。春は牡丹、秋は萩の花にちなんで、こう呼ばれています。
 お盆は、先祖を供養する行事で正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。期間は7月13日~16日までの4日間とされていますが、現在は1カ月遅れの8月13日から行うのが一般的になっています。
 盆入りの12日には仏壇を清め盆棚(精霊棚)を設けます。「迎え盆」の13日の夕方には、帰ってくる先祖の霊が迷わないように「迎え火」を焚き、16日の「送り盆」には、先祖の霊を送り出すために「送り火」を焚きます。

【送り火と迎え火】

 「送り火」と「迎え火」の方法は地域によってさまざまですが、基本的には、迎え火はお墓で焚いた火を提灯に灯して家に持ち帰り、仏壇に移す行為で、逆に送り火は、仏壇で灯した火を提灯に移してお墓に持っていく行為です。お墓や玄関先で火を灯すときは素焼きの平皿「焙烙(ほうろく)」の上に皮を剥いだ麻「おがら」をのせて燃やしますが、松明や藁を使う地域もあるようです。「おがら」はお盆の時期にスーパーやホームセンターなどでも販売しています。
 なお、四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆を「新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)」または「初盆(はつぼん)」といい、普段より手厚く供養をします。忌明け前にお盆を迎えた場合は、翌年のお盆が「新盆」です。